山口県宇部市の歯科医院「歯科・沖田オフィス」院長の沖田です。
更新が遅くなってしまいました(・_・;
本年の診療は12月28日までで、無事に終えることができました。
今年は3月から産休・育休を取得したスタッフがおり、予約が取りにくくなってご迷惑をおかけした年でした。
それでも、多くの患者さんに通って頂き無事に診療を終えることができたことに感謝申し上げます。
2023年12月29日〜1月3日まで年末年始の休診となります。
2024年は1月4日から診療開始します。
来年も一生懸命診療に頑張って参りますので、当院をよろしくお願い申し上げますm(_ _)m
✳︎4月後半からは育休中のスタッフも時短ではありますが復帰予定です。
ブランクもあって勘を取り戻す期間や、お子さんのことで突然お休みすることもあってすぐに元通りとはならないかと思いますが
温かい目で見て頂けるとありがたいです。
復帰してくれると言ってくれたことは個人的にもとても嬉しく思っています( ^∀^)
親知らずについて
今回は気になる方も多い親知らずについて
抜歯した方がいいの?しなくていいの?ということについて当院の方針を書きたいと思います!
自分では親知らずはないと思っていても
歯医者さんでパノラマレントゲンと言われる、お口全体のレントゲン写真を撮影した際に発見されることもある親知らず
歯医者さんではこの親知らずを智歯(ちし)と呼んだり、前歯から8番目の歯になるので8番(はちばん)と呼んだりします。
親知らずを抜いたら「すごく腫れた」「痛みが凄かった」「口が開かずにご飯が食べれなかった」などなど
周りの親知らずの抜歯経験者から話を聞いたり、ネットやSNSなどの書き込みで様々な情報を見たり
それで怖くなってしまう方も多いかと思います(^_^;)
親知らずの種類について
まず、親知らずは、上の歯と下の歯で大きく別れてきます。
腫れた、痛い、口が開かなくなった、抜くのが大変だった、などのネガティブな話が多いのは下の親知らずが多いです。
上の親知らず
骨の質が上顎と下顎で違っており、上は柔らかくてスポンジのような海面骨と呼ばれる骨が多く
その分麻酔が効きやすかったり、腫れや痛みが少なく、普通の親知らずであればすぐに抜けたりすることが多いです。
なので、よほど変な方向に向いてなければ、抜歯は比較的短時間で簡単に終わることが多いです。
(早い時は1分かからず、麻酔している時間の方が長い時も…)
少し注意するのが根の先が上顎洞(じょうがくどう)と呼ばれる鼻の横にある空洞が近い場合、
抜いた穴と交通する場合があるのでそこは要注意なのですが。。。
下の親知らず
下顎は硬い皮質骨と呼ばれる骨が多く、そのために抜歯が大変になってしまうことが多いのが下の親知らずです(・_・;
周りの情報などもしっかり聞いたり調べてみると、親知らずの抜歯が大変だった話の大半は下の親知らずの抜歯だと思います。
骨が硬い分、麻酔が効きにくかったり、抜くために歯を動かそうと思ってもなかなか動かないなど
痛みが出やすかったり、抜くのも大変だったりします。
また、最近の若い方は顎が小さくなったせいか親知らずが出るスペースがなく、横を向いてしまっている方が多く(>人<;)
そうすると、歯茎を切ったり、骨を削ったりしながら抜歯をすることになるので大変になります。
そのため、自分ではこの親知らずは抜けないと言って、大きな病院の口腔外科に紹介される先生や
親知らずを抜くために、大学の口腔外科医を呼ばれている歯科医院もあったりします。
親知らずの抜歯の際の注意
上の親知らず
上の親知らずは上顎洞という空洞を注意して抜歯をすることが主になります。
もし根の先が空洞に入っていて、穴が空いてしまう可能性があると思ったら
大きな病院の口腔外科での対応を考えたり
保護床という薄いマウスピースのようなものを作って食べ物などが鼻のほうに行かないようにしたり
縫合などで穴を塞ぐ処置をしたりすることがあります。
下の親知らず
こちらは注意することが増えて
親知らずの方向や位置の異常が多いので
親知らずの根が神経や血管に近いことが多かったり
歯茎や骨が被っていると、麻酔をして歯茎を切ったり、骨を削らないと親知らずが見えてこない場合もあります。
そのため通常の抜歯よりも時間がかかったり、抜歯後の腫れや痛みが出やすいです。
抜歯時の麻酔について
通常は虫歯の治療などに使う局所麻酔薬を親知らずの周りに注射します。
下の親知らずの場合、痛みが強い場合は伝達麻酔(でんたつますい)と呼ばれる、
顎に入ってくる神経の根本に麻酔をして顎の半分を痺れさす麻酔方法をとることもあります。
(神経や筋肉を傷つけるリスクなどもゼロではありません)
それ以外に、麻酔科のある病院であれば全身麻酔下で上下左右の親知らずなど複数本を一気に抜歯することもあります。
抜かなくても良い親知らず
当院が考える抜かなくても良い親知らずは
真っ直ぐ生えて、奥にスペースもあってきちんと磨けて虫歯などを作っていない親知らずです。
このレントゲンでは、左右の一番端の歯が下の親知らずですが
比較的真っ直ぐ生えて、その後ろにも多少のスペースがあります。
(親知らずの手前の歯が痛んでいますし、親知らずに虫歯治療の跡もあるので決して良い状態ではないのですが)
これでしっかり磨けているのであれば、すぐに抜歯をしなくても良いと考えます。
ただし、虫歯になったり、歯周病が悪化したり
親知らずの存在のせいで手前の歯が磨きにくく、手前の歯や噛み合う上の歯に問題を起こすようであれば抜歯を検討します。
抜いた方が良い親知らず
比較的真っ直ぐな親知らずで抜歯した方が良い場合
真っ直ぐ生えている感じがあれば良いのか?となりますが
親知らずの後ろに磨けるスペースがないと良くないので、抜歯をお勧めします。
この方も左右の一番端の歯が親知らずです。
比較的真っ直ぐ生えていますが、顎が小さいため後ろにスペースがなく
後ろの骨が少し痛んでしまって本来は骨で白く見えるレントゲンが黒くなっています。
この場合、顎が小さくギリギリのところで出てきた親知らずなので
後ろに歯茎が被りやすく、磨きにくくて歯周病菌が住み着く深い歯周ポケットが形成されます。
深いポケットに住み着いた歯周病菌が炎症を起こして骨が痛んでしまうという流れで悪くなってしまいます。
このため、一見真っ直ぐに見えて、歯の頭の部分はしっかり磨いて虫歯もない!って思っていても
後ろにスペースがなく、歯茎が被ってしまう方はレントゲンで確認してみたら思ったよりも悪い状態のことがあります(・_・;
横を向いている親知らず
この横に向いて倒れているのが親知らずです。
顎が小さく、真っ直ぐ生えるスペースがないと真横を向いてしまいます。
お口の中を見ても親知らずは見えず、レントゲンで確認して初めてわかることがあります。
歯茎の中で見えてないから問題ないと思われる方も多いかと思いますが
実際は手前の歯の歯周ポケットと、親知らずの頭の周りの空間が繋がっていて感染していることがあります。
普段は痛くないのですが、疲れた時や風邪を引いた時など免疫力の低下が起こると腫れたりすることがあります。
受験などでストレスが多く忙しい時や、妊娠中の女性ホルモンの変化で細菌が増えた時なども腫れたり痛みが出る方がいます。
また、手前の歯と親知らずの間に汚れが溜まると深い位置で虫歯になったり
手前の歯の柔らかい根の部分を押すような力がかかると、根が溶けて穴が空いてしまったり
問題を起こすことが多く、真っ直ぐ出てくることはないので抜歯をお勧めします。
ただ、抜歯するにも神経や血管が近かったり、歯茎を切ったり骨を削ったり歯を割ったりする必要があるので
負担が大きく、術後の痛みや腫れが出ることが多いので、お仕事や日常生活で少し落ち着いた時期をの抜歯をお勧めします!
もし、あまりに難しい場合や専門の機関で抜歯を希望される場合は、大学病院等を紹介できますのでご安心ください
ちなみにこの親知らずは当院で抜歯をしています。
術後のレントゲンです。
深い位置で横に向いていた歯がなくなって、黒い空間になっています。
かなり深い位置で、難易度は高めと判断しましたが、患者さんの希望で当院で抜歯をすることになりました。
抜歯する方もされる方もかなり大変でしたが、無事に抜歯できております。
心配してた神経や血管の損傷もなくて一安心でした(^◇^;)
若い方で、親知らずの方向が悪い可能性や、今後問題になる可能性が高い方
歯の根が完成すると、神経や血管に近くなるので
根が完成する前に抜歯をお勧めすることがあります。
歯磨きに問題がなく綺麗な歯並びの場合、親知らずが将来的に問題を起こすだけと思われる場合
頭ができたくらいで抜歯をされる方もおられます。
早ければ中学生や高校生くらいで抜歯してしまいます。
将来的な問題を排除でき、若い分だけ治りも早いので可能であればお勧めなのですが
怖さや痛みに耐えられるかなど、年齢だけでなく個人差があるので難しさもありますが
この方は中学生ですが、左右の下の一番奥の歯の更に奥に親知らずの頭だけがレントゲンで見えます。
根はまだできていない状態なので、白い丸のように見える頭の部分だけが完成していきています。
これで根ができてくると、神経や血管にさらに近付いて、損傷のリスクが上がることが考えられますし
顎が小さく、おそらく親知らずはしっかり生えてこれず、せっかくの綺麗な歯並びや前の歯に悪影響になるだけと思われるので
御本人と保護者の方に説明して、抜歯をさせていただきました。
抜歯後のレントゲンですが
白く丸く見えた親知らずの頭の部分がなくなって、黒い丸に変わっています。
これは親知らずを抜いたので、骨の中に空洞ができたものですが
だんだん骨が治って、周りの骨と同じように白く変わっていきます。
当院での親知らずの抜歯について
方針
基本的には他院で定期的に通われている方の親知らずだけの抜歯は受けておりません。
その理由として、他の歯科医院さんで治療中で親知らずだけの抜歯であれば、主治医の先生から大学病院などに紹介をして頂けるはずですし
お互いに抜歯も大変な作業なので、信頼関係のあることが前提と考えているのもあります。
かかりつけの歯医者さんがおられるのであれば、あっちとこっちで話が違ったなどの問題も出る可能性があるので。
あくまで当院に通ってくださる方を対象にさせて頂いております。
リスクについて
また、抜歯に際しては神経や血管の損傷のリスク、上顎洞との交通など
様々なリスクがあるので、レントゲンや必要に応じてCTなどで確認をして個別に患者さんに説明をしているので
問い合わせを頂いても、お口の中やレントゲンなどを見てもないとお答えできかねることがあります。
来院から抜歯の予約までの流れ
通常は、まずは受診頂きお口の中を確認したり、レントゲン撮影をします。
それで、神経や血管、上顎洞などに近かったりすると、CTにて確認をさせて頂きます。
その画像をもとにリスクの説明、術前術後の注意事項などを説明させて頂き、必要なら同意書に署名を頂きます。
難しい抜歯の場合は長めの診療時間を確保するので、予定を合わさせて頂いて抜歯の日と時間を決めますが
当日腫れて痛みがある場合は抜歯はできません。
また、長い時間を何度も確保するのは難しいので、キャンセルされた場合は当院での抜歯は不可と判断し
大学病院などに紹介させて頂くことがあるのでご了承ください
そのほかに当院ではなく大学病院などでの抜歯が必要と判断したり、大きな病院での処置の御希望があれば
次回までに紹介状を準備しておくので、再度取りに来て頂くようになります。
今は大学や大きな病院は紹介状がないと診てもらえなかったり、追加費用が多くかかったり
病院によっては病院側が日時などを決めるところもあるので、ご希望に添えるかは紹介先の病院次第となります(゚o゚;;
年齢で親知らずの抜歯は変わるのか?
年齢で抜歯の難易度や、術後の治りは変わってきます!
若い方は骨が柔らかいので、比較的歯が動きやすく抜きやすいです。
また、歯の周りの炎症が出ている期間も短いので、抜歯後の骨の治りも良いです。
逆に40歳を超えるくらいから、骨が硬くなったり炎症などで歯と骨が癒着して抜きにくくなると言われていたりします。
(歯医者さんの漫画でそのような記載もあったような…)
それと、年齢が上がる分だけ炎症が続いた期間が長く、抜歯しても骨が治らずに歯周ポケットを作ってしまうことがあります。
そのため、できるだけ若いうちに抜歯をされた方がメリットは大きいと考えております。
そうは言っても、なかなか決心がつかないのが親知らずの抜歯です。
また、神経や血管の損傷などのリスクもあるので
どうしても抜きたくないと言われる方もおられますが
リスクをわかった上で、抜かないと判断されるのであればそれを尊重しますので
定期的な清掃などでできるだけ悪くしないようにすることが大切です。
ダメなのは、リスクもわからず、自院で抜歯できないだけで様子をみましょうと言われて放置される歯医者さんです。
すごく悪くなって、手遅れになって手前の歯まで抜歯になることもあるので
通われている歯医者さんとしっかり話されて決められてください!!
これはあくまで当院の考えになりますので
違う考えの歯医者さんもあるかと思いますが。
大事なのは自分のお口の中は自分で守るという意識で、日々の歯磨きをしっかりするのと
信頼して任せられる歯医者さんを選ばれるなど
何かあっても他人のせいでなく、自分で納得できる選択をされることをオススメします( ^ω^ )
長い文章になりましたが
これでも全てをここで書くことはできませんので
かかりつけの歯医者さんに聞いて頂いたり、当院でもよければ何かありましたらお気軽にご相談ください。