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審美歯科治療院長

山口県宇部市の歯科医院「歯科・沖田オフィス」院長の沖田です。

 

当院で導入しているセレックについて

セレックとは、ドイツのメーカーのデンツプライシロナさんの口腔内スキャナーとミリング機械を使って、被せ物などを作ることを指します。

通常は型取りをしたものを歯科技工士さんに出して被せ物などを作製してもらうので、医院の外に外注をするのですが

セレックは、チェアサイド(患者さんの治療をしているそばのこと)で被せ物を作製することを指し、最短で即日修復(治療当日に被せ物を作製し歯につける治療)が可能です。

当院では昨年、国のものづくり補助金というものに申請し、いくつかの審査を受けて正式な認可を受けてセレックを導入しました(^ ^)

セレックは主に被せ物や仮歯、インプラント治療のためのサージカルガイドの作製などに使用していますが

保険診療も含めて金属ではなく白い歯を希望される患者さんが多いので、多くの患者さんにセレックを使用させて頂いております( ´ ▽ ` )

 

口腔内スキャナー

通常の粘土のような型取りではなく、カメラで撮影して画像で型取りをする機械を口腔内スキャナーと言います。

世界中で様々なメーカーが口腔内スキャナーを出して販売していますが。

当院ではデンツプライシロナさんのプライムスキャンという2023年の現段階で一番新しい機種を導入しております。

口腔内スキャナー
プライムスキャン

こちらはカメラが大きく口の中に入れるのが少し大変ですが、カメラが大きい分高い精度と型取りのスピードに優れております。

また、デンツプライシロナさんはこの口腔内スキャナーなどの機械については老舗で、数十年前から開発、販売しております。

昨今は中国や韓国の機器なども安くて機械としても優秀になってきていますが、昔からのノウハウなどを多く持ち、安定して使いやすく世界中にユーザーがいます。

このプライムスキャンは値段がとても高く、口腔内スキャナーの中でも最高級クラスなので良いのは当たり前かもしれませんが(笑)

正直、当院でも国の補助金がなければ価格的に導入は諦めていたかもしれません(^◇^;)

同じメーカーのCTを開業時から導入していたのもあり、当院では導入するならセレックと決めていたので

審査は大変でしたが、導入できた恩恵を多々感じております。

 

ミリング

こちらは、口腔内スキャナーで読み込んで、設計した被せ物のデータから実際の被せ物を作製する機械です。

当院ではスキャナーと連携できるデンツプライシロナのプライムミルを導入しています。

ミリング
プライムミル

このプライムミルで、セラミックやジルコニア、ハイブリッドレジンと言われる白い被せ物などを削り出して作製します。

同じデンツプライシロナというメーカーの機械なので、メーカーが使う高品質なデータを送って精度が高く、安定した被せ物が作製できます。

強化型セラミックや、ジルコニアは被せ物を作製後に窯で焼く必要があるので、使用する材料によってはファーネスと言われる、いわゆる釜が必要になります。

 

ファーネス

当院では同じメーカーで、専用のプログラミングをされたスピードファイアと言うファーネスを導入しています。

同じメーカーで専用のプログラムが組み込まれているので、短時間でセラミックやジルコニアを焼き上げることが可能となっています。

ファーネス
スピードファイア

ミリング機器で作製したセラミックやジルコニアをこのスピードファイアで焼いて強度を増したり、ステイン法と言われる表面に色を塗って焼いたりします。

ステイン法をすることでできるだけ自然な歯の色を再現しますが、チェアサイドで行うステイン法ではどうしても限界があるので

より色調にこだわる場合や、被せる歯の周りの歯の色に合わせるのが難しい場合などは歯科技工士さんにお願いして複雑なステイン法や築成法(レイヤリング法)と言われるセラミックの上にセラミックを盛って色や形を作る方法をお勧めします。

 

当院で行ったセレック治療例(ラミネートベニア2本)

治療前の写真

術前
治療前

写真では分かりにくいですが、前歯に詰め物がされて色も変色しております。

何度も欠けて詰め直してを繰り返していたそうで、変色も強く今回は綺麗にしたいとのご希望がありました。

全て削って被せるのも歯を削りすぎるし、歯の裏面の下の歯と噛み合う部分は変えたくなかったので、ベニア治療を選択しました。

 

ベニア治療後の写真

ベニア治療後
セレックでのベニア治療後

術後はこのような治療結果になりました( ^ω^ )

これは当院で院長自身が作製したベニアと言われる薄いセラミックを歯につけています。

(ベニアと言われる薄い付け爪のようなセラミックに色を塗って焼く、ステイン法で制作)

治療の流れ

古い詰め物、虫歯を除去した後

レジンで歯が少なくなった部分を詰めて修復

薄く表面のみを削って形成

口腔内スキャナー(カメラ)での型取りと、作業するための模型を作成するため上の前歯だけの小さな型取り

そこからパソコンの設計画面で設計してミリングにデータを送信

青紫色をしたセラミックのブロックからベニアを削り出し

削り出した直後は柔らかくて弱いので、形を修正したら一度ファーネスで焼き

青紫色から白いセラミックのベニアに変わります。

そこからステインといわれる色を塗って、もう一度ファーネスで焼いて色を焼き付けてベニアを完成させ

前歯2本にベニアを接着を使って貼り付け、余分な接着剤をしっかり除去して終了となります。

ブルーステート
青紫色の状態で削り出して焼く準備

 

クリスタライゼーション
ファーネスで焼いたら青紫色から白いセラミックに変わります

 

ステイニング後
色をつけてファーネスで焼き付けた後

このような流れで被せ物を作製します。

 

最後の写真で見たらわかるかと思いますが

薄い付け爪のようなセラミックを作製し、色を塗っただけですが

ベニアは表側と横を少し覆うくらいで、全て歯を削って被せる治療よりも歯を多く残せて歯に優しい治療なのと

全て被せる歯より、中の歯の色さえよければ色が綺麗で、歯茎の下に入れることもほとんどないので歯茎も綺麗で安定します。

 

世界的に、あまり歯を削らないようにすることが大切だとされており

このベニア治療は多く行われておりますが

日本では保険診療という壁があり、保険診療は国から認められた治療しかできません。

残念ながら、世界的に当たり前の治療であるベニア治療ですが

日本の保険治療ではこのベニア治療が認められておりませんので

保険外診療になります。

 

また、院内でのセレックでの治療は限界もあります。

審美的にこだわる場合や、周りの歯が複雑な色をされていて周囲と馴染む歯を作りたいとのご希望があったりするとセレックでの治療ではなく

歯科技工所に依頼をして、複雑なステイン法や築成法と言われるセラミックの上にセラミックを焼き付けていく方法でないと難しい場合があります。

 

上記の患者さんは、2本同時に修復で色合わせがシンプルになったこと

前の変色した詰め物より綺麗になればというご希望で、審美的なこだわりが少なかったことと費用を抑えたいという要望から院内でのセレック治療、院長によるステイン法で治療させて頂きました。

ちなみに、価格やデメリットですが

ベニアの参考症例の詳細

主訴:前歯を綺麗にしたい、虫歯の治療をしたい

診査診断:古い詰め物の変色による審美障害、虫歯、歯列不正

治療費用:ラミネートベニア(ステイン法)、型取り等の費用全て含めて99,000×2本→198,000(全て税込)

治療内容:古い詰め物と虫歯の除去、除去して部分的に無くなった歯質へのコンポジットレジンの充填、形成、口腔内スキャナーでスキャン

ベニアの作製とステイン塗布して焼成、口腔内に装着

ラミネートベニアのリスク(副作用):ベニアの破折や脱離の可能性、稀に知覚過敏症状

 

となります。

 

当院では患者さんのご希望、ご予算などから治療方法や内容を検討して

患者さんにあったオーダーメイドの治療を提案しております。

気になることやご要望があればお気軽にご相談ください!

 

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